ウェブ解析士マスターとは?難易度・費用・取得のメリットと私が上級で止めた理由
ウェブ解析士、あるいは上級ウェブ解析士を取得された方の中には、「ウェブ解析士マスター」が気になっている方も少なからずいらっしゃると思います。
私も上級ウェブ解析士を取得したあと、「せっかくだし、ウェブ解析士マスターまで取ってしまおうかな?」と考えていた時期があるので、よくわかります。
最初に述べておくと、私は結局のところウェブ解析士マスターまでは取得しておらず、上級ウェブ解析士のまま、実践の現場に身を置きながらスキルアップをめざす道を選びました。
私が上級ウェブ解析士を取得した2023年ごろは、「ウェブ解析士マスター」=「WACA認定の講師として講義を開講する」という制度だったので、講師業に興味がない人にとっては選択肢になりにくかったのも大きな要因です。
一方で昨今は制度の見直しも入り、従来の講師をめざしたい方向けの「講師養成コース」とは別に、より実践的なスキルを習得することを目的とした「ウェブ解析士マスター講座」が分かれ、目的に合わせて上位資格をめざしやすくなってきています。
そのうえで先にお伝えしておくと、クライアントや自社に提案レポートを出している方、あるいは今後そのような活動をめざしている方であれば、ウェブ解析士マスターは十分におすすめできる資格だと思っています。
私が進まなかったのは、ウェブ解析士マスターの資格の価値を低く見ていたからではなく、当時の制度が講師前提だったことと、単純に時間が取れなかったこと。この2つが重なっただけで、前者についてはコースが分かれたことで解消されている状況になってきたところです。
ちなみに、この資格を名乗れる人は思っている以上に少ないです。協会が毎月公表している資格保有者数を見ると、2026年6月末時点のウェブ解析士マスターは119人でした。ウェブ解析士(3種)12,318人のうちの約1%で、上級ウェブ解析士まで進んだ方に限っても25人に1人ほどです(内訳は後述します)。名刺に書ける肩書きとしては、なかなか希少なほうではないでしょうか。
そこで本記事では、あらためて「ウェブ解析士マスター」について、
- どんな資格なのか?
- どれくらいの難易度なのか?
- 取得するとどんなメリットがあるのか?
を、協会の公式情報や、実際にマスターを取得された方へのインタビューも交えながら、詳しく解説していきます。そのうえで、私がなぜ上級ウェブ解析士で止めたのかも正直に書き綴りたいと思います。
ウェブ解析士マスターの取得を検討されている方にとって、参考になれば幸いです。
マスターへの第一歩!
ウェブ解析士マスターとは?ウェブ解析士の最上位資格
ウェブ解析士マスターは、ウェブ解析士の資格体系でいちばん上に位置する資格です。
| 資格 | 位置づけ | 学べるもの |
|---|---|---|
| ウェブ解析士 | 入門 | ウェブマーケティングに関わる「知識」 |
| 上級ウェブ解析士 | 実務 | フレームワークとレポート作成という「実技」 |
| ウェブ解析士マスター | 最上位 | マクロ・ミクロ解析レポートによる提案力と指導力 |
公式のQ&Aには、ウェブ解析士は「ウェブマーケティングに関わる『知識』を学べる」もの、上級ウェブ解析士は「フレームワークやレポート作成を『実技』として学べる」ものと書かれています。
協会の公式サイトには、マスターについてこう書かれています。
ウェブ解析士マスターは、ウェブ解析士の最上位資格です。指導能力及びコンサルティング能力のどちらにおいても、ウェブ解析士会員のロールモデルであることが求められます。ウェブ解析士マスターとして認定されるには、現役のウェブ解析士マスターによる審査があり、一定のレベルを満たすことが求められます。現在在籍しているウェブ解析士マスターはウェブ解析士の10%未満であり、まさに精鋭と認められた方々です。
ウェブ解析士マスターの数はウェブ解析士の10%未満とありますが、毎月協会が公開している資格保有者数の情報によると、2026年6月末時点で119名が在籍しています。
| 資格 | 在籍者数(2026年6月末時点) |
|---|---|
| ウェブ解析士 | 9,412名 |
| 上級ウェブ解析士 | 2,787名 |
| ウェブ解析士マスター | 119名 |
出典:WACA資格 受講者数・受験者数・合格率(2026年6月1〜30日)|一般社団法人ウェブ解析士協会
マスターは全体の約1%です。上級ウェブ解析士まで到達した2,906人(上級2,787人+マスター119人)に絞っても、そこからマスターへ進んでいるのは25人に1人ほど。上級を取った勢いでそのまま進む人は、思ったより少ないようです。
【2026年】マスター講座は2つのコースに分かれています
かつてのマスターは、認定講座の講師になることとほぼセットで語られていました。実際、私自身もずっとそう思っていました。ですが2026年現在、マスター講座は目的別に2つに分かれています。
①ウェブ解析士マスター講座|レポートスキルを高めたい人向け
講師になるつもりはないけれどスキルは上げたい、という方に向いているのがこちらです。協会は講座の狙いをこう説明しています。
ウェブ解析士マスターに求められる、実務スキルを学べる講座を、プロフェッショナルなレポートを書けるようになりたい(スキルアップ)、という、受講生の目指したい姿に応えるカリキュラムとして講座展開しています。
公式が挙げている「最適な方」は次の2つです。
- ウェブ解析の実務レポートや改善レポートを、クライアントや自社に提案・活用したい方
- ウェブ解析のレポートスキルをさらに高めたい方
どちらにも「講師」という言葉が出てきません。提案の質を上げるための講座として設計されている、と受け取っていいと思います。
合格後に期待できる効果も、公式にはこう書かれています。
- クライアントへのレポートや根拠を用いた提案のレベルが上がる
- GA4やミクロ解析で深掘りした改善提案ができるようになる
上級ウェブ解析士で「レポートを書けるようになった」方が、その精度をもう一段上げにいくコース、と考えるとイメージしやすいと思います。
カリキュラムは4日間で、次のように進みます。
| 日程 | 内容 |
|---|---|
| DAY1 | オリエンテーション |
| DAY2 | マクロ・ミクロ解析の事前課題発表とフィードバック |
| DAY3 | 試験フィードバック |
| DAY3 | 試験フィードバック |
日数だけ見ると「4日で終わるのか」と思われるかもしれませんが、この4日はあくまで集合日です。学習のほとんどは日程の外にあります。DAY2までに事前課題を仕上げて発表しなければなりませんし、DAY3とDAY4はレポート試験のフィードバックにあてられます。受講期間中はずっとレポートを書き続けることになるわけで、後述する150〜200時間という数字もここから出てきます。
講師ではなく「スキルアップ」をめざす方向け
②WACA認定講師 ウェブ解析士マスター講座/講師養成コース|講師をめざす人向け
こちらが従来からある、講師になるためのコースです。マスター講座に合格した方、または受講中の方が進めます。
公式が挙げている「最適な方」は次の3つです。
- ウェブ解析の講師として活躍したい方
- ウェブ解析を社内、業界で広める役割を担いたい方
- ウェブ解析のコンサルタントスキルをさらに高めたい方
得られるものも、セミナーの作り方やプレゼンテーション力、講座開催を通じた人脈形成、企業研修や学校教育での指導機会と、人に教える立場を前提にした内容が並びます。
こちらは5日間のカリキュラムです。
| 日程 | 内容 |
|---|---|
| DAY1 | オリエンテーション |
| DAY2 | ウェブ解析士認定講座 実習 |
| DAY3 | ウェブ解析士のビジネスモデル(事前動画)/認定講座 実習(集客とブランディング) |
| DAY4 | 実技[ロールプレイ]試験 |
| DAY5 | 上級ウェブ解析士認定講座 演習(合格後) |
目を引くのはDay4の「実技(ロールプレイ)試験」です。①のマスター講座がレポートで評価されるのに対して、②では実際に人前で教えられるかどうかを見られます。求められる能力がかなり違うことは、カリキュラムからも伝わってきます。
Day5には「合格後」と書かれています。合格して終わりではなく、上級ウェブ解析士認定講座を実際に教えるための実習まで含まれているということですね。
>>WACA認定講師 ウェブ解析士マスター認定講座の詳細(ウェブ解析士協会公式)
将来的に講師の道もありうる方は、①を受けたうえで②に進む順番になります。いきなり②から受けることはできません。
2つのコースの違いを整理すると
| ウェブ解析士マスター講座 | WACA認定講師 マスター講座/講師養成コース | |
|---|---|---|
| 向いている人 | 自社・クライアントへの提案の質を上げたい | 講師として活動したい、社内外に広めたい |
| 試験の中身 | マクロ解析レポート/ミクロ解析レポート | 実技(ロールプレイ)試験ほか |
| 得られるもの | レポート・提案のレベル向上、GA4の深掘り | 講座開催、企業研修・学校教育での指導機会 |
| 受講条件 | 上級ウェブ解析士認定者かつ正会員/法人会員 | マスター認定者または受講者かつ正会員/法人会員 |
| 受講料 | 220,000円(税込) | 220,000円(税込) |
「講師になりたいわけではないが、レポートの質は高めたい」という方は、①だけを受ければ大丈夫です。②に進む義務はありません。
この分かれ方を知らずに「マスターは講師になる人のものだから自分には関係ない」と判断してしまうのは、正直もったいないと思います。
なお、どちらのコースに進むにしても、受講条件は「上級ウェブ解析士の認定者であること」です。マスターを検討されている段階でまだ上級をお持ちでなければ、順番としてはそちらが先になります。
ウェブ解析士マスターの難易度|鍵は150〜200時間を確保できるか
「マスターの難易度は?」という疑問に対して、協会は合格率を公表していません。ただ、学習時間の目安を見ると、だいたいの実態はつかめます。
協会公式サイトに記載されている目安は次のとおりです。
- 資格取得期間:3か月〜4か月
- 学習時間:約150時間〜200時間
そして公式サイトには、こんな注意書きも添えられています。
講師養成コースの実技試験の練習、マクロ解析レポート試験、ミクロレポート試験のレポート作成には、かなりの時間を要します。あらかじめ調整の上、時間に余裕があるときの受講をお勧めします。
上級ウェブ解析士と比べると4倍前後
この数字の重さは、下の資格と並べると実感しやすくなります。
| 資格 | 期間の目安 | 学習時間の目安 |
|---|---|---|
| ウェブ解析士 | 数週間〜1.5ヵ月 | 15〜60時間 |
| 上級ウェブ解析士 | 2.5〜3ヵ月 | 40〜60時間 |
| ウェブ解析士マスター | 3〜4ヵ月 | 150〜200時間 |
上級ウェブ解析士でも「時間の確保が合否を分ける」と言われるのに、マスターはそのさらに3〜4倍です。1日1時間ずつ積み上げていっても、5〜7ヵ月かかる計算になります。
マスターの難易度は、知識が足りなくて落ちるというより、時間を確保しきれずに落ちるタイプのものなのだろうと思います。
試験の中身|マクロ解析とミクロ解析
マスターのレポート試験は2種類あり、どちらも先輩マスターが採点します。
マクロ解析レポート|「事業をどう伸ばすか」を提案する
ウェブ解析士協会そのものをクライアント企業と見立てて、事業の目標達成に向けた提案レポートを作成します。合否の基準は「分析・提案に対して、クライアントが納得できるかどうか」です。
ここが厳しいところで、正しく分析しただけでは通らないわけです。「その提案なら、たしかにお金を出す意味がある」と読み手に思ってもらう必要があります。ウェブ解析というより、経営に近い視点が要るレポートだと言えます。
ミクロ解析レポート|「ひとりのユーザー」を追いかける
もう一方は、視点がまるで逆になります。ウェブ解析士協会サイトを閲覧しているユーザーをテーマに、そのユーザーのウェブ上の行動履歴を分析して、「ユーザーが幸せになるための提案」をするというものです。
事業全体を俯瞰するマクロと、たったひとりの行動を追うミクロ。マスターの試験では、この両方が求められます。上級ウェブ解析士のレポートが「サイトの課題を見つけて改善提案をする」ところまででしたから、扱う射程はかなり広がる印象です。
採点するのは先輩のウェブ解析士マスター
どちらのレポートも、採点するのは現役のウェブ解析士マスターです。答えが決まっている試験ではありません。選択式のウェブ解析士認定試験とは性質がかなり違っていて、「読んだ相手が納得するか」という基準で人が判断します。
もっとも、採点するのが同じ資格を持つ先輩である以上、受ける前からその目線を知る方法もあります。次に紹介する現役のウェブ解析士マスターであり講師活動をされていらっしゃる田北さんの話が、ちょうどそこに触れています。
実際に取った人は、どう時間をつくったのか
ウェブ解析士マスターの田北さんは、取得したときのことをこう振り返っています。
「やるからには極めたい」という思いです。ウェブ解析士を受験する前から「半年以内に最短でウェブ解析士マスターを取得する」と決めていました。全く別の資格試験も2つ平行して取り組んでいたので、結構無茶なスケジュールでした。時間管理を徹底して、たくさんの先輩マスターにも協力いただき、目標通り一発で合格することができました。
注目したいのは「たくさんの先輩マスターにも協力いただき」という部分です。マスターの試験は先輩マスターが採点する仕組みですから、先にいる人へ相談できるかどうかで、合格までの距離はずいぶん変わってくるはずです。独学で黙々と進めるタイプの試験ではないのだと思います。
落ちる理由の多くは「時間切れ」
田北さんは現在、上級ウェブ解析士認定講座の講師をされています。その立場から見た不合格の理由も、取材でうかがっています。
私の講座では、上級ウェブ解析士認定講座の合格率は約80%(2023年度)です。残念ながら不合格になってしまう方は期限に間に合わなかったというケースが多いです。「プライベートやお仕事の事情で時間が確保できなくなった」という理由ですね。
これは上級ウェブ解析士の話ですが、マスターではこの傾向がもっと強く出ると考えます。学習時間の目安が3〜4倍になって、レポートの要求水準も上がるわけですから。
マスターに挑戦するかどうかを決めるときに考えるべきなのは、自分の実力が足りているかどうかより、これから3〜4ヵ月にわたって150時間を差し出せる時期にいるかどうか、なのだと思います。繁忙期や生活の変化が見えているなら、時期をずらしたほうが結果的に近道でしょう。
▶ 取材の全文はこちら:ウェブ解析士認定講座の講師インタビュー|ウェブ解析士マスター 田北 泰裕さん
ウェブ解析士マスターの費用|総額でいくらかかる?
マスター単体でかかる費用は次のとおりです。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| ウェブ解析士マスター認定講座 | オリエンテーション |
| WACA認定講師マスター認定講座(講師をめざす場合のみ) | ウェブ解析士認定講座 実習 |
| 【再試験】マクロ解析レポート試験 | 33,000円 |
| 【再試験】ミクロ解析レポート試験 | 33,000円 |
| 【再試験】WACA認定講師 マスター試験 | 33,000円 |
| 正会員 年会費 | 6,600円 |
レポートの再試験は1期あたりの費用なので、期間内であれば何度でも提出できます。一発勝負ではないというのは、精神的にずいぶん違うところです。
あわせて頭に入れておきたいのが、マスターの受講条件が「上級ウェブ解析士の認定者であること」だという点です。マスターまで到達するには、ウェブ解析士 → 上級ウェブ解析士 → マスターと積み上げる必要があるので、それぞれの費用が積算されていきます。
ウェブ解析士・上級ウェブ解析士にかかる費用は、こちらで詳しくまとめています。
>>ウェブ解析士の受験費用はいくらかかる?受験パターン別の費用と維持費も解説
>>上級ウェブ解析士とは?|難易度や勉強時間、合格のコツを徹底解説
金額だけを見ると気後れするかもしれませんが、マスターまで一気に決めてしまう必要はありません。上級ウェブ解析士まで進んでみて、レポートを書ききった手応えから判断しても遅くないと思います。私自身、いまその段階にいます。
なお受講料は期によって改定されることがあります。検討される際は、最新の金額を公式サイトでご確認ください。
最新の受講料・開講日程を確認
ウェブ解析士マスターを取得するメリット|何ができるようになる?
220,000円と150時間を投じて、何が返ってくるのかを整理します。
①レポートと提案の精度が上がる
協会が「合格後に期待できる効果」として挙げているのは、次の2つです。
- クライアントへのレポートや根拠を用いた提案のレベルが上がる
- GA4やミクロ解析で深掘りした改善提案ができるようになる
文字だけ見ると抽象的ですが、マクロ解析レポートで「経営に納得してもらう提案」を、ミクロ解析レポートで「ひとりのユーザーの行動から改善を導く」訓練を、それぞれ実務レベルの分量でやるわけです。日々の業務で「なんとなく提案が通らない」という手応えの薄さを抱えている方には、効いてくるところだと思います。
②認定講座を開けるようになる(講師コースに進んだ場合)
講師養成コースまで修了すると、ウェブ解析士・上級ウェブ解析士の認定講座を自分で開講できるようになります。受講料の内、協会に支払う手数料を除いた分は講師の利益になりますので、収入の入り口がひとつ増えることになります。
ここは①のマスター講座だけでは得られない部分です。「講座を開きたいか」が、2つのコースを分ける実質的な判断基準になります。
③箔がつくことでビジネスの機会が生まれる
シンプルな話、ウェブマーケティング関連の最上位資格を持つことで、いわゆる「箔」がつきます。ウェブマーケティング領域で活躍の幅を広げたい、案件を獲得して収入を増やしたいという方にとって、当然ながら「信頼」は重要です。
自分の名刺に「マスター」が入ることで、クライアントから得られる信頼感も高まるので、安心して仕事を任せてもらいやすくなります。
ウェブ解析士マスターの年収は?
検索でもよく見かける疑問ですが、先に事実からお伝えします。
結論から言うと、ウェブ解析士協会は、マスターの年収データを公表していませんので正確な年収は不明です。
ただし、ウェブ解析士マスターとして活躍されている方の多くは、副業あるいは事業を持った方ですし、私がこれまでお会いしてきたマスターの方のお話しを聞く限り、年収が高い方が多い印象です。

副業として取り組んでいるウェブマーケティング支援が本業の収入を超えているという知人のウェブ解析士マスターも実際にいます。
少なくとも、講師として活動されている方の場合は、開講している講座の受講数見合いで講師業としての収入が入ってきますので、多くの受講生を抱えている講師の方は、それなりの収入になっていると思います。
私が上級ウェブ解析士で止めた理由|資格で学ぶか、現場で学ぶか
ここからは、私自身の話です。冒頭でお伝えしたとおり、私は上級ウェブ解析士の取得まで止めて、ウェブ解析士マスターの取得は見送っています。せっかくなので、その理由も正直に書いておきます。
マスターを検討している方が直面するのと、おそらく同じ分かれ道だと思うからです。
上級のあと、資格より現場を選んだ
上級ウェブ解析士を取ったあと、私はウェブマーケティング支援の副業を始めました。
当時いちばん迷ったのが、まさに「次はマスターに進むか、実際にクライアントの支援活動にチャレンジするか」でした。
悩んだ末に選んだのは後者です。
クライアントワークは、相手の事業の数字が動くかどうかがすべてで、しかも逃げ場がありません。この緊張感のなかに身を置いたほうが自分は伸びるだろうと考えましたし、体系立てて学ぶより現場で必要に迫られたほうが動けるタイプだという自覚もありました。
実際にやってみて、少なくとも私個人として、この判断自体は間違っていなかったと思っています。

クライアントの大切な事業の支援に入る以上、「深い知識や技術を備える方が先」という考え方もありますし、否定しません。
このあたりは個人のスタンス次第だと思います。
当時は「ウェブ解析士マスター」=「講師」だった
もっとウェブマーケティングについて深く学びたいと考え、ウェブ解析士マスターの取得も少しチラついたのですが、私が上級ウェブ解析士を取得した2022年ごろは、「ウェブ解析士マスター」=「WACA認定の講師として講義を開講する」という扱いで、講師としての活動を考えていなかった私にとって、選択肢になりにくかったです。
講師のほとんどの方は、何かしらウェブマーケティング支援の現場での活動実績をお持ちですし、”講師なのに現場経験がない人”が人前で指導できるはずもないと思いました。
一方で、先述のとおり、2026年現在は、ウェブ解析士マスター講座と講師養成コースが明確に分かれ、講師をめざすのではなくスキルを高めたい方にも門戸が開かれているので、この点は心配無用かと思います。
そして単純に、時間がつくれなかった
もうひとつは、身も蓋もない話ですが時間です。
上級ウェブ解析士のときは、修了レポートに1ヵ月半で40時間ほどかけました。それでも当時はかなり必死だった記憶があります。マスターはその3〜4倍、150〜200時間です。
本業があって、そこに副業のクライアントワークが乗っている状態で、3〜4ヵ月にわたり150時間を確保する計画は、正直どう組んでも立ちませんでした。
やるからにはしっかり取り組みたい性分ですので、十分な時間を確保できない中で、中途半端に取り組むのは避けるべきだと考えた次第です。
ウェブ解析士マスターをめざすべき人/上級で十分な人
ここまでの内容をふまえて、判断の材料を整理します。
マスターをめざす価値がある方
- クライアントや自社に対して、提案レポートを日常的に書いている
- 上級ウェブ解析士のレポートで「もっと深く分析できたはず」という手応えの薄さが残った
- GA4を使ったミクロ解析まで踏み込みたい
- 3〜4ヵ月にわたって150時間前後を確保できる見通しがある
- 将来的に講師や研修講師としての活動も視野に入れている
上級ウェブ解析士で十分な方
- ウェブ解析が業務の一部で、レポート作成が中心業務ではない
- まずは体系的な知識と、基本的な改善提案ができれば足りる
- まとまった時間の確保が現時点では難しい
- 費用対効果に納得できる目的がまだ言語化できていない
- 座学より、実際のクライアントワークで鍛えるほうが自分に合っている(私がこのタイプです)
マスターは「上級の次だから」という理由だけで挑むには、少し重い資格だと思います。150〜200時間という数字は、目的が曖昧なまま走り出すとまず折れます。ただ、提案の質を上げたい理由がはっきりしている方にとっては、これ以上ないくらい実務に直結した訓練になるはずです。
もうひとつお伝えしておきたいのは、これは向き不向きというより時期の問題だ、ということです。いま時間が取れないなら取れる時期に回せばいいですし、現場で伸びている実感があるならその期間を優先すればいい。マスターに受験期限はありませんから、判断を先送りにできます。

かくいう私もひょっとしたら、時間が取れるようになれば取得を目指すようになるかもしれませんしね。
まずは上級ウェブ解析士から
繰り返しになりますが、ウェブ解析士マスター講座の受講条件は「上級ウェブ解析士の認定者であること」です。マスターに興味を持たれた方も、順番としてはまず上級ウェブ解析士を取得することになります。
上級ウェブ解析士は40〜60時間・2.5〜3ヵ月が目安で、マスターと比べればかなり現実的です。しかも上級のレポート課題は、マスターのマクロ・ミクロ解析レポートの土台にそのままなります。上級で「レポートを書ききる経験」を積んでおくことが、結果的にマスターへの近道になるわけです。
▶ 上級ウェブ解析士とは?|難易度や勉強時間、合格のコツを徹底解説
まだウェブ解析士をお持ちでない方は、ウェブ解析士の取得がスタートラインになります。
▶ 【2026年最新】ウェブ解析士とは?難易度・合格率を徹底解説
よくある質問
- Q. ウェブ解析士マスターは国家資格ですか?
-
いいえ。ウェブ解析士・上級ウェブ解析士・ウェブ解析士マスターはいずれも、一般社団法人ウェブ解析士協会(WACA)が認定する民間資格です。ただしマスターと上級ウェブ解析士は、ITコーディネータ協会の「専門スキル特別認定資格」に登録されています。
- Q.ウェブ解析士マスターは何人いますか?
-
2026年6月末時点で119人です。協会は資格保有者数を毎月公表しており、同時点でウェブ解析士9,412人、上級ウェブ解析士2,787人、ウェブ解析士マスター119人となっています(出典)。
- Q. ウェブ解析士には何段階のレベルがありますか?
-
3段階です。ウェブ解析士(知識)→ 上級ウェブ解析士(実技)→ ウェブ解析士マスター(最上位)の順に上がっていきます。加えて、マスターの上位区分としてWACA認定講師 ウェブ解析士マスターがあります。それぞれ下位資格の取得が受講条件になっているため、飛び級はできません。
- Q. マスターの資格に更新は必要ですか?
-
必要です。ウェブ解析士の資格はいずれも、正会員(年会費6,600円・税込)としての会員資格の維持が前提になります。
- Q.講師になるつもりがなくてもマスターは取れますか?
-
取れます。2026年現在、レポートスキルを高めたい方向けの「ウェブ解析士マスター講座」と、講師をめざす方向けの「WACA認定講師 ウェブ解析士マスター講座/講師養成コース」に分かれています。前者だけを受講して認定を得ることが可能です。
- Q. ウェブ解析士マスターの合格率は?
-
公表されていません。合否はレポートに対する現役マスターの審査で決まるため、選択式試験のような合格率という考え方になじまない面もあります。
- Q. 不合格になったらどうなりますか?
-
再試験を受けられます。マクロ解析レポート試験・ミクロ解析レポート試験は各33,000円(税込)で、レポートの再試験は1期あたりの費用のため、期間内であれば複数回の提出が可能です。
- Q. 最短でどれくらいの期間でマスターになれますか?
-
協会の公式回答では、ウェブ解析士からマスター取得まで最短6ヵ月程度とされています。内訳は、上級ウェブ解析士認定講座がトータル2〜3ヵ月、マスター認定講座が4ヵ月程度です。認定講座の開講スケジュールにも左右されるため、実際にはもう少し余裕を見ておくのが安全です。
- Q. 上級ウェブ解析士とマスターはどれくらい違いますか?
-
学習時間の目安が、上級40〜60時間に対してマスターは150〜200時間と、3〜4倍の差があります。費用も上級とは別に220,000円(税込)が必要です。
まとめ
- ウェブ解析士マスターはウェブ解析士の最上位資格で、在籍者は2026年6月末時点で119人(ウェブ解析士12,318人の約1%)
- 2026年現在は「レポートスキルを高めたい人向け」と「講師をめざす人向け」の2コースに分かれていて、講師になる予定がなくても受けられる
- 学習時間の目安は150〜200時間・3〜4ヵ月。上級ウェブ解析士の3〜4倍で、知識より時間の確保が合否を分ける
- 受講料は220,000円(税込)。受講条件は上級ウェブ解析士の認定者であること
- 年収データは協会から公表されていない。資格が仕事を運んでくるというより、提案の質と働き方の幅が変わる資格
私自身は上級ウェブ解析士で止め、マスターには進まずクライアントワークの現場を選びました。その判断を後悔してはいません。ただ、コースが分かれたいまは、マスターもずいぶん現実的な選択肢になったと感じています。残っているハードルは時間だけです。
そのうえで、クライアント向けの提案書やレポートを作成するような仕事をしている方には、150〜200時間を投じるだけの中身がある資格だと思っています。在籍者119人という希少性は、上級ウェブ解析士までとは違う立ち位置をつくってくれますし、なによりレポートの質そのものが上がれば、資格の有無に関係なく仕事に効いてきます。
ウェブ解析士あるいは上級ウェブ解析士を取得された方は、検討してみる価値は十分あると思います。


