ウェブ解析士とITパスポートの違いは?|学べることや取得難易度、メリットを解説
ウェブマーケティングを学ぶことは、現代のビジネスにおいて不可欠です。デジタル環境での集客や売上向上のための戦略を理解し、実践できるスキルを身につけることで、競争の激しい市場で優位に立つことができます。
また、データ分析や顧客の行動を理解することで、より効果的なターゲティングやカスタマーエクスペリエンスの向上が可能になります。結果として、ビジネスの成長やブランドの認知度向上に寄与する重要な学びとなります。
このような背景から昨今では、企業においてもデジタルマーケティングやデータ分析に強い人材の確保をしたり、資格取得支援などを通じてスキルを高める動きが出てきています。
デジタルマーケティング関連資格でよく挙げられるものとして、「ウェブ解析士」や「ITパスポート」といった資格が挙げられますが、どちらを取得すべきか悩まれる方も多くいらっしゃいます。
この記事では、ウェブ解析士認定試験とITパスポートの違いや難易度、取得メリットについて解説します。
結論から言うと、デジタルマーケティングの体系的な基礎知識や、アクセス解析について学びたい方はウェブ解析士、ITに関する基礎知識や企業に関する知識や法務・経営戦略を重点に学習したい方にはITパスポートの受験をおすすめします。
それぞれの資格の違いを理解し、より自分のスキルアップやキャリア形成につながる資格の取得を進めていきましょう。
それでは詳細を解説します。
ウェブ解析士とITパスポートの資格概要
はじめに、ウェブ解析士認定試験とネットマーケティング検定の基本概要について紹介します。
ウェブ解析士とは
「ウェブ解析」とは、ウェブサイトを軸にして定量的・定性的な行動データの解析からユーザーを理解し、事業の成果に貢献する技術です。
単なるアクセス解析の知識にとどまらず、マーケティングの広い知識、観測すべきKPIの設定、事業にそくした現状分析および目標を達成するための計画立案など、多岐にわたる能力が求められています。
これを総合的に評価し、認定しているのがウェブ解析士認定試験です。
2022年12月時点で52,000名を超える受験者がいます。
上位資格に「上級ウェブ解析士」と「ウェブ解析士マスター」があり、ウェブ解析士は基礎を身に着けるための入門資格の位置づけです。
※スマホは横スクロールできます。
ウェブ解析士 | 上級ウェブ解析士 | ウェブ解析士マスター | |
---|---|---|---|
レベル | ウェブ解析ツールのデータやレポートを読んで正しい判断ができる | 実務の解析分析にもとづき、事業のコンサルティングが行える | ウェブ解析士を指導、育成できるスキルを持つ |
受験資格 | なし | ウェブ解析士の正会員 | 上級ウェブ解析士の正会員 |
認定方法 | ・認定試験 | ・事前課題 ・中間課題 ・修了レポート ・修了テスト | ・マクロ解析レポートコース修了 ・ミクロ解析レポートコース修了 ・講師養成コース修了 |
ITパスポート試験とは
ITパスポートとは、ITに関する基礎的知識を証明する、経済産業省認定の国家試験です。IT系の国家試験では入門レベルにあたり、近年では年間約26万人が受験しています。
ITに関する基礎的な知識が証明できる国家試験
ITパスポートは、ITを利活用するすべての社会人・これから社会人となる学生が備えておくべきITに関する基礎的な知識が証明できる国家試験です。
具体的には、新しい技術(AI、ビッグデータ、IoT など)や新しい手法(アジャイルなど)の概要に関する知識をはじめ、経営全般(経営戦略、マーケティング、財務、法務など)の知識、IT(セキュリティ、ネットワークなど)の知識、プロジェクトマネジメントの知識など幅広い分野の総合的知識を問う試験です。
ウェブ解析士とITパスポートのカリキュラムを比較
ウェブ解析士認定試験とITパスポートのカリキュラムの違いについてそれぞれ公式テキストの内容を踏まえて確認しましょう。
まずは、ウェブ解析士のカリキュラムは以下のとおりです。
- 第1章 ウェブ解析と基本的な指標
- 第2章 事業戦略とマーケティング解析
- 第3章 デジタル化戦略と計画立案
- 第4章 ウェブ解析の設計
- 第5章 インプレッションの解析
- 第6章 エンゲージメントと間接効果
- 第7章 オウンドメディアの解析と改善
- 第8章 ウェブ解析士のレポーティング
続いて、ITパスポートのカリキュラム(出題範囲)が以下です。
ストラテジ系
- 1.企業活動
- 2.法務
- 3.経営戦略マネジメント
- 4.技術戦略マネジメント
- 5.ビジネスインダストリ
- 6.システム戦略
- 7.システム企画
マネジメント系
- 8.システム開発技術
- 9.ソフトウェア開発管理技術
- 10.プロジェクトマネジメント
- 11.サービスマネジメント
- 12.システム監査
テクノロジ系
- 13.基礎理論
- 14.アルゴリズムとプログラミング
- 15.コンピュータ構成要素
- 16.システム構成要素
- 17.ソフトウェア
- 18.ハードウェア
- 19.情報デザイン
- 20.情報メディア
- 21.データベース
- 22.ネットワーク
- 23.セキュリティ
カリキュラムの違いを見てみると、ウェブ解析士はデジタルマーケティングの全体像を踏まえた上で、ウェブ解析(設計~分析まで)とクライアント(社内外)向けの提案力向上を手厚くしていることがわかります。
一方で、ITパスポートは、ITを活用した業務領域を広く学べることがわかります。
デジタルマーケティングを中心とした体系的な基礎知識、Googleアナリティクスを使ったウェブ解析について学びたい方はウェブ解析士。
ITと経営に関する総合的な知識の習得をめざしたい方はITパスポートがおすすめです。
試験内容や受験方法、難易度を比較
ウェブ解析士認定試験とネットマーケティング検定の試験内容、難易度について比較すると、以下のとおりです。
ウェブ解析士の試験はほぼ常時開催かつオンライン受験可であるのに対し、ITパスポートは受験会場のPCで受験するCBT方式です。また、ITパスポートの試験日程はエリアによって異なる点に注意する必要があり、土日を中心に組まれている傾向にあります。
また、難易度で言えばウェブ解析士は合格率92%(2023年度平均 ※当サイト独自集計)であるのに対し、ITパスポートは50.3%と大きく開きがあります。
難易度がやさしめの受験からチャレンジしたいという方には、ウェブ解析士の受験をおすすめします。
ウェブ解析士の年度別難易度や基本的な受験対策については、以下の記事にまとめておりますので、よければ参考ください。
>>ウェブ解析士とは?試験の難易度や合格率、受験対策を徹底解説
資格取得の流れを比較
ウェブ解析士とITパスポートの資格取得の流れは以下のとおりです。
ウェブ解析士取得の流れ
公式テキストや公式問題集を購入して学習します。講座や試験受験にはウェブ解析士公式テキストが必須となっています。
ウェブ解析士講座開催スケジュール確認し、都合の良いウェブ解析士認定講座に申し込み、受講します。
- 講座は1日約5時間で開催されます。(ご自身のペースに合わせて受講可能なオンデマンド型講座も選択できます)
- 事前に公式テキストをお読みいただき、予習している前提で進行します。
- 講座を受講せずに試験だけのお申し込みも可能です。
ウェブ解析士試験開催スケジュールを確認し、都合の良いウェブ解析士認定試験に申し込み、受験します。
- 試験はインターネット環境のPCを使用して120分50問、4択問題でおこなわれます。
- 合否は試験終了直後に判定されます。
- 試験費用は17,600円(税込)です。試験お申込み時にお支払いください。
ITパスポート取得の流れ
テキストや過去問題集を購入し、学習します。ITパスポートのテキストや問題集はいろんな会社から出版されていますが、最新のシラバスに対応しているものを選択しましょう。
ITパスポート試験公式HPより、利用者ID登録を行い、試験会場・日程・受験手数料支払い方法を選択し、申し込みます。申し込み後、確認票をダウンロードしておきます。
受験会場の受付で、確認票・本人確認書類の提示を行い、受験します。
- 確認票、顔写真付き本人確認書類を必ず準備しておきます。
- 試験終了後2~3時間で試験結果レポートをダウンロード可能
- 受験月の翌月中旬に合格発表
- 受験月の翌々月中旬に合格証が送付される
資格取得のメリット、デメリット
ウェブ解析士とITパスポートのメリット、デメリットについてまとめます。
※スマホは横スクロールできます。
ウェブ解析士認定試験 | ITパスポート | |
---|---|---|
メリット | ・ウェブマーケティングの知識、スキルを体系的に学ぶことができる ・Googleアナリティクス等のメジャーな解析ツールを使ったアクセス解析、設計についても学ぶことができる ・取得後、上位資格にチャレンジすることができる(上級ウェブ解析士、ウェブ解析士マスター) ・オンライン試験(自宅可)かつ、ほぼ常時開催のため受講しやすい | ・ITを正しく理解し、業務に効果的にITを利活用することのできる“IT力”が身につけることができる ・ITと経営全般に関する総合的な知識が身に着く ・認知度の高い国家試験である ・試験費用が7,500円(税込)で安価 |
デメリット | ・Googleアナリティクスの実技問題にも触れるがメインではないため、データ解析重視の人には物足りない可能性あり | ・Googleアナリティクス等のアクセス解析の実技は含まれない ・各エリアの受験会場で受ける必要がある |
上記メリット、デメリットを踏まえると、ウェブ解析士・ITパスポートは以下のような方におすすめです。
ウェブ解析士はこんな人におすすめ
- ウェブマーケティング初心者で、まずは全体像や基礎知識をやさしめの難易度(合格率)で学びたい方
- Googleアナリティクス(GA4)など主要な解析ツールを使った実務まで学びたい方
- さらに専門性の高い、上級ウェブ解析士・ウェブ解析士マスターへのチャレンジを考えている方
- ご自身の都合(日時・場所)に合わせて受験したい方
ITパスポートはこんな人におすすめ
- ITと経営全般に関する総合的な知識を身に付けたい方
- 国家試験の合格をめざしたい方
- できるだけ受験費用を抑えたい方(7,500円・税込)
まとめ
この記事では、デジタルマーケティング関連資格である「ウェブ解析士認定試験」と「ITパスポート」について、内容や受験方法の違い、取得のメリットについて解説しました。
どちらの資格もデジタルマーケティング分野の知識を身につけるための入門レベルでありますが、重点を置いている分野は異なります。
ウェブマーケティングの全体像の学習に加えて、アクセス解析の入り口を学びたい人にはウェブ解析士をおすすめします。
一方で、ITに関する全般的な知識を学びたい方にはITパスポートの取得をおすすめします。
また、合格率の観点ではウェブ解析士の方がやさしいため、普段から資格取得をされていない方は、まずはウェブ解析士を取得してから、より難易度の高いITパスポートの取得をめざすのもよいかと思います。
ご自身の実務で必要なスキルや重点的に学びたい分野に応じて、よりスキルアップやキャリア形成につながる資格の取得を進めていきましょう。
資格取得は「いつまでに合格をめざすか?」をはじめに設定することが大事です!
目標を決めて短期集中でチャレンジすることをおすすめします!
■5万人超が受講したデジタルマーケティング資格「ウェブ解析士認定資格」
- 50,000人以上が受験
- デジタルマーケティングの実践的な知識を深く学べる
- GA4やSNS活用、Web広告など専門性の高いテーマを学べる講座も提供
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